今回は、別記のコラム『フラワーアレンジメントに使える!お家で育てられるフルーツ(果樹)の種類と選び方』で取り上げたフルーツの詳しい栽培方法と、フラワーアレンジメントでフルーツを使うコツをお伝えしようと思います。
フルーツの育て方
初心者向けのベリー系「ブルーベリー」、「ラズベリー、ブラックベリー」と柑橘類「キンカン」、「レモン、ライム」、そして中・上級者向けの「姫リンゴ」、「ブドウ」の的な鉢植え栽培方法をまとめました。
ベリー系の育て方
ブルーベリー
冬期に5~6号ポット(直径15?~18?)に赤玉土とピートモスを1:1で混ぜた用土を入れて植えつけます。
1本だけでは結実しない品種もあるので、苗購入時にしっかりと確認しましょう。肥料は3月上旬(発芽前)に玉肥を鉢の縁に押し込むように与えます。
6月上旬に即効性の化学肥料を与えると実が大きくなります。表面の土が乾いたら鉢の下から水がでるまでたっぷりと水を与えます。
根の生長が早いので、2年に1度は一回り大きな鉢に植え替えます。
植え付けてから2年目までは結実させると樹勢が衰えるので、冬期に花芽のついている先端部分を剪定します。
3年目以降は6月ごろに急に伸長した新梢の先端を切り戻す夏剪定と、冬期に花芽が多くついている枝を残し、弱い枝や古い枝、込み入った枝などを整枝する冬剪定を行います。
ラズベリー、ブラックベリー
冬期に6~8号ポット(直径18?~24?)に赤玉土と腐葉土を1:1で混ぜた用土を入れて植えつけます。
乾燥を防ぐため、土の表面をウッドチップなどで覆いましょう。ブルーベリーと違い1本だけでも結実します。
肥料は3月上旬(発芽前)と収穫後に玉肥を鉢の縁に押し込むように与えます。表面の土が乾いたら鉢の下から水が出るまでたっぷりと水を与えます。
根が詰まると枯れてしまうので、2年に1度は一回り大きな鉢に植え替えます。
剪定は、6月ごろに急に伸長した新梢の先端を切り戻す夏剪定と、収穫後に果実をつけた枝は枯れるため株元から間引き、新しい枝は先端を切り戻して冬剪定を行います。
柑橘類の育て方
キンカン
春または初秋に5~6号ポット(直径15?~18?)に赤玉土と腐葉土を1:1で混ぜた用土を入れて植えつけます。
肥料は冬期に玉肥を鉢の縁に押し込むように与えます。乾燥に弱いので表面の土が乾いたら鉢の下から水が出るまでたっぷりと水を与えます。
実をつけ始めたら2年に1度植え替えます。アゲハチョウやガの卵・幼虫を見つけたらすぐに取り除きましょう。
実をつけすぎると樹勢が弱るので、適度に摘果しましょう。剪定は、3月ごろに込み合う枝を剪定し、樹の内側に光が入るようにします。
キンカンは春(5月)、夏(7~8月)、秋(10月)の年3回花を咲かせます。剪定する際は花芽のついた枝を切らないように注意しましょう。
寒さに弱いので、冬期は霜や寒風に当たらないよう軒下などに移動してください。
レモン、ライム
3月ごろに8~10号ポット(直径24?~30?)に赤玉土と腐葉土を1:1で混ぜた用土を入れて植えつけます。
肥料は冬期に玉肥を鉢の縁に押し込むように与えます。乾燥に非常弱いです。
夏期は朝夕2回、それ以外の季節は表面の土が乾いたら鉢の下から水が出るまでたっぷりと水を与えます。
実をつけすぎると樹勢が弱るので、適度に摘果しましょう。剪定は、3月ごろに込み合う枝を剪定し、樹の内側に光が入るようにします。
花芽のついた枝を切らないように注意しましょう。寒さに弱く、また梅雨の時期に雨風に当たると病気になりやすいので、梅雨や冬期は雨や霜、寒風に当たらないよう屋内や軒下に移動してください。
姫リンゴの育て方
真夏以外の時期に8~10号ポット(直径24?~30?)に鉢底石を敷き、市販の果樹用培養土や赤玉土と腐葉土などを混ぜた用土を入れて植えつけます。1
本だけでは結実しない品種もあるので、苗購入時にしっかりと確認しましょう。
肥料は春と秋に有機肥料を与えます。乾燥気味に育てると果実が甘くなりますが、春?夏期に水が切れると実がつかなくなります。
夏期は朝夕2回、それ以外の季節は表面の土が乾いたら水を与えます。花が咲いている時期は花に水がかからないように水をあげましょう。
根が詰まると枯れてしまうので、2~3年に1度は一回り大きな鉢に植え替えます。実をつけすぎると樹勢が弱るので、適度に摘果しましょう。
剪定は、冬期と7~8月が適期です。込み合う枝を剪定し、伸びすぎた枝は分岐させたい位置で切り戻します。
真夏の暑さと直射日光(特に西日)に非常に弱いため、夏期は半日蔭に置く、または夕方に西日に当たらないように移動させるなどしてください。
その他の時期は、日当たりが良く風通しの良い場所に置きます。ただし、風が強い場所では果実が落ちてしまうので注意しましょう。
ブドウの育て方
暖かい地方では12~1月、寒い地方では3月下旬?4月上旬に8~10号ポット(直径24?~30?)に鉢底石を敷き、赤玉土と腐葉土、砂やパーライトなどを6:3:1で混ぜた用土を入れて植えつけます。
植え付け後、2~3芽残して切り返します。ブドウはアサガオやクレマチス(テッセン)のように行燈(あんどん)仕立てにして栽培します。
肥料は収穫後の9~10月と冬期に与えます。また、6月上旬に即効性の液肥を与えても良いです。
乾燥に強いですが、夏期は土の表面が乾いたら1日1回たっぷりと水を与えます。秋は週2回、真冬は週1回程度水をあげてください。
結実後は1年ごとに一回り大きな鉢に植え替えます。実をつけすぎると樹勢が弱るので、適度に摘果しましょう。
剪定は、冬期(2月上旬まで)がメインです。植え付け1年目は支柱を立てて主枝を伸ばし、それ以外の枝は間引きます。
2年目は行燈に2~3周巻いた長さで剪定します。3年目以降は先端を切り返し、込み合う枝や古い枝を剪定します。
5~6月に花穂がついていない枝を間引き、風通しと日当たりを良くする夏剪定を行います。
アレンジメントでフルーツを使うコツ
育てたフルーツは、収穫してフラワーアレンジメントに使ってみましょう。フルーツの魅力を最大限に活かすには以下の3つのポイントが重要です。姫リンゴは他のリンゴと同様に涼しい気候を好みます。
重量感のあるものは低く
柑橘類や姫リンゴの果実は重量感があります。重量感のあるものをアレンジメントに使う際は、全体と調和するように低い位置に使うのがコツです。
果実にワイヤーや竹串を挿してフラワーフォームに固定します。アレンジメントをどこかに飾る際に、花器の周りにフルーツを飾るのも素敵です。
「自然の方向を意識」する
別のコラム「お花だけじゃない!フラワーアレンジメントの陰の主役「グリーン」とは?」でも書いたのですが、フラワーアレンジメントでは植物の向きがとても重要です。特に、ベリー系は枝・葉と共にアレンジすることが多いので、収穫する時に「根本からどのよう向きで枝が伸びているのか」や「実や葉のつき方はどのようになっているのか」を観察しておくとアレンジする際にとても参考になります。
色・形を魅せる
花と一緒でフルーツも全く同じ形・色のものはありません。1つ1つのフルーツをじっくり眺めて一番良い面をアレンジメントで魅せてあげて下さい。
複数の果実を使用するときは、熟した果実はアレンジの中心側、未熟な果実はアレンジの外側に配置することで自然なアレンジに仕上がります。
また、柑橘類などはスライスしてドライフルーツすると、リースの飾りとしても使えます。
おわりに
今回は鉢植えの栽培方法をお伝えしました。鉢植えにすると玄関やベランダでも気軽にフルーツを育てられます。また、植え替えの際にその時の気分、お庭のイメージに合わせて鉢のデザインを変えられるのも楽しみの1つです。
ご家庭で育てたフルーツで素敵なフラワーアレンジメントを作ってみてくださいね!
果樹を育ててみたいあなたのご参考になったら幸いです。
詳しい種類の選び方は、別コラム『フラワーアレンジメントに使える!おうちで育てられるフルーツ(果樹)の種類と選び方』でご紹介しています。
こちらも参考になさってくださいね!
農学部出身で、鳥取でイングリッシュガーデンのあるイギリススタイルフラワーアレンジメント教室のオープンに向けて勉強中。2019年に花農家として、夫婦で新規就農しました!育児と花仕事の両立を目指す二児のママです。
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