
世界のお花屋さん事情|キルギス共和国の花文化を訪ねて
ユーラシア大陸の中央に位置するキルギス共和国は、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタンと並ぶ中央アジア5カ国のひとつです。国土の約9割が山岳地帯で、日本の約半分の広さ。万年雪を抱く天山山脈や、世界でも透明度の高いイシク・クル湖など、雄大な自然が広がる美しい国です。
この地域は、イスラム文化や遊牧文化、そして各民族固有の文化が混在する多様性に富んだエリア。独自の暮らしや伝統の中で、人々がどのように花を楽しんでいるのか興味が湧きます。
首都ビシュケクで見つけた花屋「SadiFlo」

筆者の知人が2025年6月と9月にキルギスを訪れた際、首都ビシュケクで撮影した生花店「SadiFlo」。店内では、日本でもおなじみのオアシス社製フローラルフォームが使われており、世界共通の花資材が活躍していることに驚かされます。
お店の写真を見ると、鮮やかな色合いの花々が丁寧に管理され、花を扱う姿勢には真摯な職人の気質が感じられます。
高価な花と、独特の販売スタイル

知人によると、キルギスでは生花が「普段の生活費と比べると高価」と言われるそうです。そのため花を贈ることは、特別な想いを伝える行為として位置づけられているのかもしれません。
また、ビシュケクの花屋では、すべての生花を冷蔵庫に保管しており、店頭には並べていないとのこと。理由は定かではないものの、乾燥した気候や鮮度保持のための習慣かもしれません。独特の花の扱い方に、現地の環境と文化が反映されています。
写真でつながる花の世界

キルギスの花文化に関する情報は非常に少ない中で、こうして現地の写真を通じてお花屋さんの様子を知ることができたのは貴重な機会です。
遠く離れた中央アジアでも、人々が花を愛し、日常に彩りを添えていることに心が温かくなります。
「ラフマット」――キルギス語で「ありがとう」。
編集後記
フラワーワークスジャパンでは、会員の皆さまが海外で出会った花文化やお花屋さんの様子を紹介する「世界のお花屋さん事情」シリーズを展開しています。異なる土地での花のあり方を知ることが、私たちの表現やデザインの幅を広げるきっかけになります。
次回もどうぞお楽しみに。

谷川 文江(たにがわ・ふみえ)
一般社団法人フラワーワークスジャパン代表理事
株式会社アトリエフィーズ代表取締役
京都芸術大学芸術学部デザイン科卒業、同大学院芸術研究科修士課程修了。
ファッションデザイナー、雑貨デザイナーを経てフラワーデザインを国内外で習得。
1996年フラワースクール「アトリエフィーズ」を設立。
2000年兵庫県西宮市にイギリスのゲストハウスをイメージしたフラワーサロンをオープン。
2013年フラワーワークスジャパンを設立し、講師の育成に力を注いでいる。
「花とインテリアを通じて暮らしを楽しむ文化を創造する」を理念に幅広く活動中。
著書
『切り花を2週間長持ちさせる はじめての花との暮らし』
『狭くても心地良い空間づくり はじめての極小ガーデニング』
(共に家の光協会)
ガーデニング雑誌『Garden & Garden』連載。他、取材も多数。
3児の母。子供たちはみな成人し、現在は定年後カメラマンとして活動する主人と息子の3人暮らし。












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