アトリエの小さな庭を作り変えて約半年が過ぎました。2016年9月終わりごろから苗を植え始め、冬を乗り越え、はじめは小さな苗ばかりだったのが、しっかり成長してきました。
更地になったところに庭を作るにしても、プランターに新しい土を入れて作るにしても、気をつけたいのは土作りです。私は市販の「草木の土」を買って、それにさらに腐葉土と牛糞か馬糞堆肥(なければ牛糞堆肥)、燻炭、赤玉土などをまぜ込んでいます。植物が育つ基本の土がしっかりしていれば、少々の病気や虫では簡単には枯れません。花作りは、まずは基本の土作りから始めてみましょう。
それではそれぞれの性質についてご紹介いたします。
草木の土
草木の土は、土や砂に腐葉土や堆肥、ピートモスを混ぜ込んで作られています。最近は初めから緩効性の化成肥料が混ぜ込んであるものもあります。
バラの土やブルーベリーの土など専用の土も売られていますが、これはそれらの植物が酸性の土が好きとかアルカリ性の土が好きかで、混ぜるものの配合が変わるためでしょう。慣れないうちは、初めから植物にあった土を買い求める方がよいかもしれません。
腐葉土
山や林で落葉した葉が堆積してできた堆肥です。腐葉土自体に栄養価はほとんどありませんが、土に混ぜ込むことにより「保水性」や「通気性」を高めてくれます。ふんわりした土は植物の根の発育を促し、よく育つことにつながります。
堆肥
一般的な堆肥は牛や鶏や馬の糞をわらや草と混ぜ、においがなくなり、土のようになるまで発酵させたものです。植物が必要とする栄養素が多く含まれ、植物の成長を促します。今までの経験上、鶏糞堆肥はリンが多く含まれるようで、多めに与えると花より葉を茂らせるように思います。
牛糞堆肥も良いですが、馬糞堆肥が今まで使った中では花も咲き、実のなる植物によく効きました。馬糞堆肥は、乗馬センターなどで売っている場合以外手に入れづらかったですが、最近ではネットで簡単に買えるようになりました。
赤玉土
無菌の土なので菌や虫が寄り付かず、水はけ、水もちは良いことから土作りには欠かせない土です。
粒にはいろいろな大きさがありますから、大きな鉢に植えるときは大きな粒という具合に使い分けてつかいます。赤玉は小さいものだと5ミリくらい、大きなものだと1,5センチくらいの粒上になっていますから、混ぜることにより土の間に隙間ができて、根っこの成長を助けます。植物は根から栄養分を吸収しますので隙間がある土を喜びます。
また、日本は酸性雨が降ることが多く、手を入れていない土は基本的に酸性です。赤玉土は弱酸性ですから、混ぜることで植物はより自然に近い環境で育つことができます。
鹿沼土
栃木県の鹿沼市でとれる土で、赤玉土より酸性度が高く酸性の土が好きなサツキなどの植物の土に使われます。
化成肥料
近年は実にさまざまなものが出回っています。なかでも花が咲きやすい環境を整える栄養素を配合したマグアンプKなどが簡単に使えて、美しい花を咲かせてくれます。容量を守って上手に使うのも良いと思います。
燻炭
園芸店でも手軽に手に入りますが、道の駅で売っているのを見つけて初冬に買い求めました。
燻炭は酸性に傾きすぎるのを防ぐので、土に1割ほど混ぜて使うのがお勧めです。また籾殻を炭にしているので、軽く黒い色をしています。冬場には苗の周りに1センチほどまくと、太陽の熱を吸収し保温効果があり、また保水効果もあるので小さな苗がすぐに乾燥してしまうのを防いでくれます。
土をしっかり作ったアトリエの庭の植物は冬も元気に育ち、初夏の5月にはたくさんの花を咲かせました。
土づくりに悩む時は、まずはその植物にあった土を購入して植えて見てください。1回や2回枯らしてしまうことがあるかもしれませんが、何が悪かったかをよく見て次につなげてくださいね。
今年は昨年秋に挿し木をした、バラやクレマチス、ローズゼラニウムが花を咲かせました。次は挿し木について書いてみようと思います。
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挿し木で育ててみよう
一般社団法人Flower Works Japan 代表理事の谷川文江です。
代表理事校であるAtelier F’sを主宰しています。
1996年アトリエフィーズをオープン。2013年一般社団法人フラワーワークスジャパンを設立、2015年アトリエフイーズを法人化。フラワーアレンジメントスクール経営をはじめ、講師の育成事業にも力を注いでいる。著書に『切り花を2週間長持ちさせる はじめての花のある暮らし』(家の光協会)がある。京都芸術大学卒。
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