芝生の中に咲き誇る大輪のバラ、アーチやトレリスに巻きついて、たくさんの花を咲かせるつるバラなど、イングリッシュガーデンにバラは欠かせません。
今回は、そんなバラ達がいつまでもお庭でキレイに咲くことが出来るよう、種類ごとの剪定・整枝方法をお伝えします。
バラの種類
バラを栽培する上で必要な剪定・整枝は、バラの樹の形状で異なります。
大きく分けると「ブッシュ(木立性)ローズ」、「シュラブ(半つる性)ローズ」、「つる性バラ」の3つのタイプがあります。
ブッシュ(木立性)ローズ
一般的な株バラの樹形。樹高は人の背丈を越えないくらい(1.2m前後)で小さく、こんもりと育ちます。
枝が直立する「直立性」、横に張り出す「横張り性」、これらの中間の「半横張り性」の3タイプあります。
花やつぼみが上向きにつくため、人の目線や上から眺めるのに適しており、庭の中心や前方に植えられることが多いです。
シュラブ(半つる性)ローズ
人の背丈と同じくらいか、少し越えるくらいに枝を伸ばして大きく育つ種類のバラです。
上に伸びた枝はゆるやかなアーチを描いてドーム型の樹形になります。仕立て方により「つる性バラ」や「ブッシュローズ」になる品種もあります。
つる性バラ
枝が数メートル以上長く伸び、支柱などを用いて枝を支える必要があるバラ。
一般的なつるバラの「クライミング(登はん性)ローズ」と、枝が下垂し地面を這うように伸びる「ランブラー(匍匐性)ローズ」があります。
クライミングローズは枝が4~5m程度であまり伸びないため、小さな庭にも使いやすいです。
ランブラーローズの枝は5~10m程に伸びるため、大型のフェンスやトレリス、パーゴラなどに向きます。
バラの剪定・整枝に必要なもの
バラはとげがたくさんあるため、剪定するには革手袋が必須です。
その他に必要なものは、剪定ばさみ・のこぎり・園芸ばさみ・支柱・麻ひもやシュロ縄などです。
背丈の高い樹を剪定する際は、目を守るため防護ゴーグルを着用することをおすすめします。
バラの剪定・整枝方法
バラの剪定は冬と夏の2回、整枝作業は夏に行います。
樹形や仕立て方、四季咲きや一季咲きなどによって、剪定・整枝の方法は異なります。「冬剪定」と「夏剪定と整枝」を樹形ごとにご説明します。
冬剪定について
冬剪定は、古い枝や傷んだ枝を切り捨て、若い枝を残すことで株を更新させ、5月に花を咲かせるために行います。バラにとって一番大切な作業です。
ブッシュローズ
芽が膨らみ始める2月中旬から下旬に行います。
まず、茶色くなって老化した「古枝」、細く短く伸び止まっている「短小枝」、株の内側に向かって伸びている「ふところ枝」、病虫害にあった枝などは付け根から切り除きます。
不要な枝を切り終えたら、剪定前の株の2/3から3/4の高さになるように全ての枝を切り詰めます。
この時、株の外側に向いた芽(外芽)の5~6mm上で、芽の向きと並行になるように斜めに切ることがポイントです。
シュラブローズ
2月中旬から下旬に行います。ブッシュローズと同様に、「古枝」、「短小枝」、「ふところ枝」、病虫害にあった枝などを付け根から切り除きます。
不要な枝を切り終えたら、剪定前の株の1/2から2/3の高さになるように全ての枝を切り詰めます。
この時、株の外側に向いた芽(外芽)の5~6mm上で、芽の向きと並行になるように斜めに切ることがポイントです。
全体がドーム型になるように整え、古い枝が中心にくるように支柱を立てて結びます。
シュラブローズをつるバラのように仕立てる場合は不要な枝を切り除いた後、上記のような剪定は行わず、枝先を軽く切り詰めてトレリスなどに誘引します。
つるバラ
剪定後に誘引作業をするため、枝の水分が少なく曲げやすい12月?1月に行います。まず、枝を留めていた紐を全て外します。
続いて、春以降に伸びたシュート(1本の茎とそれにつく葉)を残して「古枝」、「短小枝」、「ふところ枝」、病虫害にあった枝などを付け根から切り除きます。
つるバラは前年に伸びたシュートに花を咲かせる性質があるため、新しいシュートを元から切ってしまうと花を咲かせません。
春に花を咲かせた枝や昨年誘引した枝は、新しく伸びたシュートのところで切ります。
この際、新しく伸びたシュートの付け根から4、5?先で切るようにします。最後に残した全ての枝の先端を20~30?ほど切り詰めます。
剪定を終えてから誘引作業をします。株全体のバランスを見て、それぞれの枝を這わせる方向を決めます。
枝は水平か斜め上になるように倒しながら、付け根の方から結わえ付けていきます。
枝先が下に向くと枝が弱るので、枝先は必ず水平以上にして結わえ付けます。枝同士の間隔は20?ほどにすると、株が蒸れず、花がきれいに咲き並びます。
夏剪定と整枝
夏剪定は主に四季咲きの品種に行います。一季咲きのもの、つるバラは整枝を行います。
また、花がらをつけたままにすると樹勢が弱るので、花が咲き終わったらすぐに花がらを摘むようにしましょう。
ブッシュローズ
四季咲き種の秋花をきれいに咲かせるため、8月上旬から9月上旬ごろに剪定を行います。
初めに花がらを切り、未熟枝、枯れ枝・葉、病虫害にあった葉などを切り除きます。
不要な枝葉を切り終えたら、だいたい剪定前の株の2/3の高さになるように弱剪定します。
また、一気に夏剪定をせずに、花がらをこまめに取り除きながら夏の間中、少しずつ花を咲かせて秋花につなげる方法もあります。
一季咲き種で夏に繁りやすいものは、8月ごろに株の日当たりと風通しを良くするために整枝を行います。
四季咲きと同様に花がらや不要な枝葉を切り除きます。
残りの枝は春の花が咲いた高さで切り、全体的にドーム型などにして樹形を整えます。
シュラブローズ
ブッシュローズと同様。つるバラ仕立ての場合はつるバラと同様。
つるバラ
6月下旬?9月にシュートの管理をします。真夏になるとどんどんシュートが伸びます。
数本をまとめて支柱に縛り付けたりして、切らずにできるだけ真っ直ぐ上に伸ばします。
特に、ランブラーローズは前年に花を咲かせた枝には花をつけないので、大切にシュートを伸ばしましょう。
おわりに
今回は、基本的なバラの剪定・整枝方法をご説明しました。
バラは品種が多様なため、剪定・整枝の方法も品種ごとに多少異なる場合があります。
栽培する上で、「切った枝のどこに芽がでて、何?伸びたらつぼみがつくのか」「枝は横に広がるのか。上に伸びるのか。」などその品種の特徴を知ることが大切です。
大好きな品種のバラを一番美しい姿に整える作業が剪定・整枝・誘引作業です。
是非、花が咲き乱れる季節を思い浮かべながら作業してみてください。
農学部出身で、鳥取でイングリッシュガーデンのあるイギリススタイルフラワーアレンジメント教室のオープンに向けて勉強中。2019年に花農家として、夫婦で新規就農しました!育児と花仕事の両立を目指す二児のママです。
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